調停委員とは，調停に「一般市民の良識を反映」させるため，「社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人」の中から選ばれています。

具体的には，原則として40歳以上70歳未満の人で，弁護士，医師，大学教授，公認会計士，不動産鑑定士，建築士などの専門家のほか，地域社会に密着して幅広く活動してきた人など，社会の各分野から選ばれています（以上、裁判所ホームページより）。

弁護士等とありますが、特に家事調停の場合は、ほとんどが通常法律知識のない方が選ばれています。

そもそも、調停の趣旨は、上記のとおり、「一般市民の良識を反映」させた上で、一刀両断的でない、妥協点を見つけることにあります。

そのため、裁判の判決ではどうしても、「白か黒か」という一刀両断的な、ある意味硬直的な解決しかできませんが、調停では、いわば裁判所が関与する示談として、柔軟な解決が図れるというメリットがあります。

調停委員とは、いわばこの柔軟な解決をはかるために、中立的な立場で話を聞く、人生経験豊富な一般の方という立ち位置です（研修は受けていますが、あくまで法的専門家、資格制ではない前提です）。

一昔前なら、村の長老等が仲裁に入って話し合っていたところを、現代社会では、裁判所から選ばれた調停委員の下での話し合いになっているわけです。

ただ、柔軟な解決というメリットは、双方が譲歩しないと全く決まらないというデメリットになります。

また、法的専門家ではない一般人が関与するということは、調停委員各個人での能力差、相性差があるということは避けられないことになります。