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離婚・男女問題(慰謝料等)で困ったら

離婚・男女問題について、よくご相談を受ける内容を簡潔にまとめました。離婚・男女問題は、夫と妻の、まさに人生と人生が衝突する場面であり、同じケースなどひとつもありません。以下の記載はあくまで一般的な知識を並べたものですので、全ての場面に通用するものではありません。しかしながら、疑問を持ちやすい点、誤解されやすい点は共通な面もありますので、ご参考にしていただけたらと思います。 

 

夫婦の同居義務

相談ひと月ほど前から、妻が理由なく家出して、なかなか戻ってきません。今すぐに離婚したいわけではないようです。ただ、夫婦には同居義務があるとききましたので、この義務をもとに同居の強制はできるでしょうか。

 

回答:この点、夫婦は、お互いに話し合って決めた住所で一緒に暮らす義務があります(民法752条)。

 そのため、正当な理由なく妻が家出してしまった、というような場合であれば、同居するように求める権利が夫にあるということになります。

 そして、当事者同士の話し合いでも決着がつかないという場合には、家庭裁判所に同居を求める調停を申し立てることになります。

 さらに、調停の場でも折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に対して同居を命じる審判を申し立てることができます。

 ただ、注意すべきは、これらの調停や審判で、妻は夫と同居をするということになったとしても、それを直接に強制(無理矢理連れてくる等)することも、間接に強制(同居しないと一日につき、○○円、お金を払え等)することもできません。

 これは、夫婦の同居というものは、妻(夫)が自らの自由な意思で履行しなければ意味がない(強制して履行できない性質の債務ということです)ことからです。

 そのため、夫としては、話し合いや調停を進める中で、何が原因で同居したくないのか、その原因は夫が努力することで解決可能なことなのか等を、探っていくことが大事です。

 

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

モラルハラスメント

相談結婚して3年目の夫婦です。結婚当初から、夫からの暴言がひどく、やめさせようと話し合いをしても、自分が家事をしないからだ、と取り合ってくれません。離婚を考えてますが、モラルハラスメントとして、慰謝料もとれるのでしょうか?。

 

回答モラルハラスメント、通称モラハラという言葉を最近よく聞きます。

夫(妻)からモラハラを受けているので、離婚する際に慰謝料をとれませんか?と相談の際に質問を受けることがあります。

確かに、テレビやネット上などで、夫婦間のモラルハラスメントで慰謝料がとれる、という無責任な記事をみたことはあります。

しかし、結論からいいますと、慰謝料をとることは難しいです。

そもそも、ひとことでモラルハラスメントとは何か?と質問されると、多分、誰も答えられないと思います。

従来は、「夫婦間の性格の不一致」という言葉でくくられてきたものが、最近になって「モラルハラスメント」という言葉で言い換えられているだけ、というのが実際のようです。

度を越した精神的な嫌がらせ、罵詈雑言は、夫婦間であっても、「違法」です。

しかし、さらにそれが「損害」として金銭に評価できるか(慰謝料が発生するか)はまた次元が異なるわけです。

もちろん、以上は一般論ですので、慰謝料が発生するような事案が全くないとは言いません。また、モラハラ以外の行動との、いわば「合わせ技」として、慰謝料を求めるケースもあります。

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

親権と収入

相談私は、主婦で収入がないです。夫からは、「お前は収入が無いから、離婚しても、子どもの親権をとれない」と言われています。本当なのでしょうか。

 

回答:親権を、夫・妻いずれに得させるかについて、双方の経済事情は考慮要素の一つではあります。しかしながら、収入の無い妻が親権を得ても、収入のある夫から「養育費」という形で、子どもの生活費・学費相当分をもらえます。したがって、収入がないから親権がとれないわけではありません。種々の事情を考慮して、いずれに親権を得させるのが、最も「子供の福祉」に適うか?です。

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

親権者の変更~その1

相談4年前に夫と離婚しました。その際、3歳の息子について、夫が強硬に親権を主張してきたため、夫を親権者として協議離婚してしまいました。一度決めてしまった親権者を変更することはできるのでしょうか。

 

回答:離婚する際に決めた親権も、離婚後の事情の変化等により「子の利益のために必要がある」場合には、変更することができます。

 ただし、離婚の際の親権者は当事者の合意で決めることができましたが、親権者の変更は裁判所の手続(①調停・②審判)を経る必要があります。

 まず、①調停では、当事者が親権者の変更について合意できれば、調停の成立により親権者を変更することができます。

 調停で合意に達しない場合には、自動的に②審判の手続に移行します。この場合、家事審判官(家庭裁判所の裁判官)は、当事者双方の言い分や現在の子どもの状況など一切の事情を総合考慮して親権者を変更するかどうかを判断します。

調停ではなく、いきなり審判を申し立てることもできますが、まずは調停での話し合いを試みるべきと判断された場合には、調停に付されることになります。

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

親権者の変更~その2

相談4年前に夫と離婚しました。その際、3歳の息子について、夫が強硬に親権を主張してきたため、夫を親権者として協議離婚してしまいました。一度決めてしまった親権者を変更する手続きはどうすればよいのでしょうか。

 

回答:親権者変更を求める調停や審判を申し立てる場合には、家庭裁判所に申立書を提出します。

(※弁護士に依頼する場合は、すべて弁護士が行いますが、ご自身で行う場合は、管轄の家庭裁判所窓口にお問い合わせください)。

 その際の注意点として、家事事件手続法により、調停や審判の申立書は相手方に送付されることとなりましたので、申立書は、裁判所だけでなく、相手方にも読まれるという前提のもとで記載してください(あまりにも感情的な文章は、相手を不要に刺激するだけです)。

 なお、相手方に現在の住所を知られたくない事情がある場合、弁護士に依頼している場合には、通常、弁護士事務所を住所地として記載します。

 ご本人一人で行う場合でも、回避できる手続きがありますので、裁判所に確認してください。

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

浮気と婚姻費用

相談:妻の浮気が最近発覚しましたが、妻は未成年の子どもを連れて出ていき、浮気相手と同棲を開始してしまいました。このような場合でも、夫である私は、妻に婚姻費用を払う必要があるのでしょうか。

 

回答:例えば、結婚8年目の、夫X妻Yの夫婦がいたとします。ある日、妻Yの浮気が発覚し、妻Yは勝手に未成年の子Zをつれて家を出て行き、浮気相手と同棲を開始したとします。そして、この夫X、妻Yとも、正社員として、それなりの年収はあったものの、夫Xの方がかなり上回っていたとします。

この場合の妻Yが、夫Xに対して、「あなたの方が年収が上なのだから、婚姻費用(妻の生活費等+子供の生活費等)の分担をしてください」という請求をしたとして、夫Xは、「不貞をして勝手に出て行ってあなたに対して、どうして自分が婚姻費用は支払わなくてはならないのか」との主張をした事案があります。

このような事案について、裁判所は、別居中の妻が夫に対して婚姻費用の分担を申し立てた場合において、妻と同居している未成年者の子に対する実質的な監護費用に相当する部分を除いた妻自身の生活費に相当する部分の申し立ては権利の濫用として許されないと判示しました。

つまり、浮気し、自分で勝手に別居を開始した上、自分の生活費を旦那に支払わせるのは、いくらなんでも自分勝手すぎる、と裁判所も考えたわけです。感情論としては、多数の共感が得られる結果ではないかと思います。

そして、ここでもうひとつ裁判所の判断で重要なことがあります。それは、そのような妻Yに対して権利濫用の主張が認められる場合でも、子どもの生活費についてまでは、夫Xは拒めないとした点です。

婚姻費用の請求が権利の濫用と言えるのはあくまで浮気をして出て行った妻Yとの関係だけです。何の落ち度もない子供の生活費等の分については、父親として払ってやりなさいよ、と裁判所は判断したわけです。

したがって、質問に対する答えとしては、①妻の生活費等相当分は払う必要はないが、②子どもの生活費等相当分は払う必要がある、ということになります。

(文責:弁護士古市太一  三重弁護士会所属 鈴鹿市出身)

養育費と婚姻費用

相談:養育費と婚姻費用の違いがよくわかりません。

 

回答:養育費とは、離婚後、子供にかかる生活費(学費等含む)を言います。離婚後、父親が、子供を連れている母親に支払うケースが一般です。

 婚姻費用とは、離婚前、一方の配偶者が、他方の配偶者の生活費及び子供の生活費として支払う金銭です。夫が、子供を連れて別居中の妻に支払うケースが一般です。

 つまり、簡潔にまとめると、離婚前=妻の生活費+子供の生活費、離婚後=子供の生活費 です(もちろん、父親が子供を連れている場合、母親の方が収入ある場合等は、当然上記ケースと異なってきます。)。

 この婚姻費用や、養育費は、一方の配偶者や、子供の生活を維持するものですので、義務者に収入がある限りは、支払う必要があります。養育費は請求しません、と権利者に念書を書かせたとしても、完全に放棄させられるものではありません。

 (なお、不倫をして勝手に別居に踏み切った配偶者が、婚姻費用を請求するのは【少なくとも自分の生活費相当分については】権利濫用として許されないという判例等はあります)。


 (文責:弁護士古市佳代 三重弁護士会所属 津市出身

婚姻費用の金額

相談:離婚を前提に妻子と6カ月ほど別居しています。

 最初は、私の給料振込口座の通帳を妻に渡していましたが、全て使われてしまい、さすがに私の方の生活も成り立たなくなってきました。

 そこで、通帳の紛失届をだして、通帳は手元に戻したのですが、婚姻費用を支払う義務が夫にはあるから給料全額渡せと迫られています。

 そんなに婚姻費用を渡す必要があるのでしょうか。。

 

回答:婚姻費用とは、要するに、別居中の妻と子供の生活費をいいます。この婚姻費用は、夫と妻の収入及び子供の数と年齢に応じて、全国一律の相場表があります(「婚姻費用算定表」と呼ばれるもので、ネットで検索して頂いても見つけることができます)。

 我々弁護士が法律相談を行う際も、また、裁判所で婚姻費用の調停を行う際も、この算定表をみながら判断することになります。

 この算定表は、「これぐらい年収があり、これぐらいの家族構成の人なら、これぐらいは出してください」と、計算して出されているものですので(実際は、細かい計算式があります)、無茶苦茶な金額を要求しているものではありません。

 法律相談の際お伝えしているのは、「この算定表で出てきた基準は、いわば最低限ですから、この程度は支払う義務があります。逆に、これ以上支払う義務はないわけですので、後はあなたの判断に任されます」です。

 そこで、ご質問をみると、算定表は、不可能なことを要求しているわけではないので、算定表上、給料全額が婚姻費用となることはありません。

 あくまで、算定表ででてきた金額を前提に、上乗せするか否かは、夫の判断となります。

 なお、夫が住宅ローンを支払っている自宅に妻子が居住している等、事情によっては、この算定表の金額が変動することもあります。


 (文責:弁護士古市太一 三重弁護士会所属 鈴鹿市出身

養育費を支払ってくれない場合には

相談:離婚調停で、元夫が養育費を月8万支払うとの合意が成立しましが、最初の半年支払ったのみで、その後の支払いがありません。感情的にならないように給料を差し押さえたりする厳しい方法はとりたくないのですが、ほかに方法はありますか

 

回答強制執行などのハードな手続きによらない制度としては、履行確保の制度があり、具体的には「履行勧告」と「履行命令」という方法があります。

 この履行確保の制度は、家庭裁判所の調停および審判で定まった義務の履行がされるように家庭裁判所が一種のアフターケアとして当事者が自発的に履行することを促す制度で家事事件手続法に定められています。

 まず、「履行勧告」は、家事審判、家事調停または離婚訴訟の付帯処分によって定められた金銭の支払いその他財産上の給付を目的とする義務の履行がなされていない場合に、権利者の申し出によって家庭裁判所がその履行状況を調査し、義務者に対してその履行を勧告するものです。

 書面または口頭でも申出ができますし、電話でも受け付けられます。手数料も必要ありません。管轄は、義務を定めた家庭裁判所ですが、相手方が管轄外の転居した場合などは、他の裁判所に嘱託できます。

 家庭裁判所の調査官が、相手方に履行勧告書の送付、電話による勧告、家庭裁判所における面談等により勧告をしてくれます。あくまで任意の履行を促す制度ですので強制力はありませんが、感情的になって支払わないケースなどでは第三者である調査官が働きかけることで任意に支払うケースもあり、一定の効果は認められます。

 他方、「履行命令」は、家事審判、家事調停または離婚訴訟の付帯処分によって定められた金銭の支払その他財産上の給付を目的とする義務の履行がなされていない場合に、権利者の申し立てにより、相当と認めるときに家庭裁判所が履行を命ずるものです。

 命令に従わない場合は、過料に処せられる点では強力なのですが、手続きがややこしいこともあり、「履行勧告」や「強制執行」と比べると実際には利用されていません。

 しかし、強制執行するとかえって会社をやめてしまう、でも、強制力のない履行勧告では言うことをきいてくれないという場合に、その中間的な効果を及ぼすものとして、方法次第では有効な手段ではないかと考えます。


 (文責:弁護士古市佳代 三重弁護士会所属 津市出身

養育費を支払ってくれない場合には②

相談:離婚調停で、元夫が養育費を月8万円支払うとの合意が成立しました。1年程は調停条項どおり支払ってくれましたが、その後、全く支払わなくなりました。ひとまず裁判所から履行勧告をしてもらいましたが、効果がありません。すでに、未払金は120万円になっています。どうすればよいでしょうか。

 

回答:ご質問のように、養育費の未払金額が、相当額になっている場合には、元夫の有する預貯金等の債権を差し押さえることで一気に未払い分の回収を図ることが考えられます。

 ただ、当然、元夫の現在の預貯金の口座を把握する必要がありますし、口座が空っぽでは空振りに終わってしまいます。

 そこで、差し押さえできる金額が少額であっても、将来にわたって養育費を確保する方法として、毎月元夫に支払われる給料の半分まで(税金等を控除した月額が66万円を超える場合は、33万円を超えた金額全額を)差し押さえることができます。

 この差し押さえのメリットは、一度差し押さえてしまえば、将来支払われる給料からも回収ができるということです(給料から延々と天引きされるということ)。

 もっとも、差し押さえをしたことで、元夫が会社に居づらくなり、結果やめてしまえば、差し押さえている給料自体がなくなってしまうことになります。

 そのため、給料の差し押さえは最終手段ととらえた方がよいと思います。これ以外にも、現在では間接強制という方法が養育費については認められています。


 (文責:弁護士古市佳代 三重弁護士会所属 津市出身

行方不明の配偶者への離婚訴訟

相談:何年も行方不明の夫に対して離婚訴訟を提起したいのですが、住所がわからないとだめなのでしょうか?

 

回答:裁判をするには、原則として、訴状が相手方に送達されることが必要です。

 しかし、相手方の居場所がわからない場合、送達ができないから裁判はできない、というのでは、まったく離婚できないという、酷な結果となります。

 そこで、そのような場合には、「公示送達」の制度があります。

これは、実際には訴状が相手方に送達されなくても、訴状が相手方に送達されたものと「みなす」というものです。

 その結果、裁判期日が決まり、手続きが進めることができることになります(法廷に出るのも、尋問も原告側だけです)。

 そして、被告が所在不明のまま、判決に至ることができます。

 

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

離婚と氏の変更

相談:子供が学校に行っているので、離婚しても、卒業するまでは届け出をして姓は変えないつもりですが、その後、やはり旧姓に戻したいのですが?

 

回答:氏(姓)ですが、氏は戸籍の基礎となるものです。

 そのため、その変更は「やむを得ない事由」があるときに限り、家庭裁判の許可(審判)を得て変更できます(戸籍法)。

 この「やむを得ない事由」とは、戸籍上の氏の使用により社会生活上著しい支障が生じる場合です。

 したがって、なんとなく気に入らない等の事由では変更は許可されません。

 もちろん、この氏は、離婚した場合にも、旧姓に戻る形で変更されますし、離婚後3か月以内に届け出をすれば、婚姻中の氏をそのまま名乗ることもできます。

 ここで、ご質問のように、子供が学校に行っている等の事情で、離婚後、子供が卒業する数年間は婚姻中の氏のままで、その後に、旧姓に戻るということができるか問題となります。

 この点については、上記の「やむを得ない事由」があるかの判断になりますが、一般的には認められる傾向にあります。

 

文責:弁護士古市太一(三重弁護士会所属 鈴鹿市出身)

 

不倫している側からの離婚請求

相談:自分には、今、不倫中の女性(男性)がいて、妻(夫)にも確固たる証拠を握られています。それでも妻(夫)とは別れたいが、別れてくれそうにありません。不倫している自分の方からの離婚請求は絶対に認められないのですか?

 

回答:以前でしたら、不倫している側(有責配偶者)からの離婚請求は、認められてませんでした。

 もっとも、近時は、有責配偶者からの離婚請求を認めた判例(昭和62年最高裁)もあり、状況と争い方次第では、認められる場合もあります。

 ただ、上記判例は、別居期間が36年に及んでいた事案であり、かなり厳しい要件があると考えて下さい。

 

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

離婚のタブー

相談:離婚の際に、これをしてはダメだということがあったら教えてください

 

回答:私たち専門家が離婚相談を受ける際、相談の最初の方に確認する点があります。

 それは、①不倫と、②暴力です。

 相談者の相手方に、この①、②があって、証拠を握っているのであれば、プラスポイントとなります。

 

 逆に、相談者の側に、①、②があれば、離婚を進める上で、圧倒的なマイナスポイントとなります。

  

もちろん、このマイナスポイントを可能な限りマイナスとさせないのが、専門家である私たちの仕事ではありますが、状況次第では、「白旗」を上げざるを得ない案件もあります。

 

 ところで、芸能ニュースの影響からか、最近、「妻(夫)がなかなか、離婚に応じてくれないので、わざと不倫して、結婚を続ける気を無くさせる」作戦はどうでしょうか、という相談を受けることが複数あります。

 

不倫をした配偶者から、不貞していない配偶者への離婚請求は、4、5年の別居程度では、判例上まず認められないことは以前書きました。また、慰謝料(損害賠償)として、通常数百万円は請求されます。

 

 そうすると、専門家である私たちからみると、上記の作戦は、完全に「自爆」としか言いようがないわけです(うまく、相手方に愛想をつかせても、3年以内なら損害賠償請求されます。)

 

弁護士古市太一 (三重弁護士会所属 鈴鹿市出身)

不貞行為ってなに?

相談:離婚の際にしてはいけないこととして、不貞行為があるとのこですが、キスとかも、不貞行為にあたり、だめなのでしょうか?

 

回答:離婚でやっていはいけないこと、として、上の質問で、不倫をあげました。

 

ここでいう不倫とは、法律用語では「不貞行為」という意味です。

 

この「不貞行為」について、法律相談の際、勘違いされていることとして、単に、既婚者が、他の異性と食事をしたり、キスしたりする程度では、該当しません。

 

この「不貞行為」とは、端的に「性交渉」(≠性交類似行為)のことです。

 

そのため、「不貞行為」を主張する側としては、相手方が、「性交渉」をしたことを証拠で証明する必要があるわけです。

 

典型的なものは、ラブホテルに入室する際と、数時間後退室する際の、二人の写真、性交渉したことを認める内容のメールや、ベッドの中でとった写真等です。

 

そのほかにも、性交渉をしたことを認める、覚書などを書いてもらった等の場合もあります。

 

弁護士古市佳代 (三重弁護士会所属 津市出身)

不貞行為の慰謝料相場や交渉方法

相談:不貞が発覚して慰謝料を相手の妻の弁護士から請求されています。相手からはラブホテルに入った際の探偵の資料などを提示されており、どうしたらよいのかわかりません。また、具体的な相場や、交渉のコツなどありますか?

 

回答:

 こういった不貞問題においては、二つの争点があります。①不貞行為の有無、②①があるとして、妥当な賠償金額です。

 

 今回は、ラブホテルから出てきた探偵資料が提示されたとのことですので、①ではなく、②の問題になります。

 

 一般に、不貞行為の損害賠償額は、1婚姻期間や同居期間の長さ(長いほど高くなる)、2不貞行為の回数期間(多ければ、長ければ高くなる)、3不貞行為の悪質性(子供を妊娠していた等があれば高くなる)、4不貞時に夫婦関係が円満であったかそうではなかったか、5結果として夫婦が離婚しているか(離婚完了していれば高くなる)、を総合考慮して決められます。

 

 この中で、4の円満かどうかは第三者からでは判断できないことから、一般的に裁判所は、不貞行為時、同居していたか別居していたかで判断しています。

 

 これらを前提に、仮に妻側が、あなただけを被告として裁判をしてきた場合、積極的に反論し争い、ある程度反論が裁判所に認められたとして想定される判決相場としては、最も多いゾーンとしては150万前後が一般的です。

 

 ただ、それは前述の要素で増減がありますので、例えば相手方が熟年夫婦で長年同居していたのであれば、これ以上になりますし、逆に、同居1年程度の夫婦であれば、これよりも減額される可能性があります。

 

 この判例相場を前提に、交渉においては、低めから交渉を開始(交渉ですので、最初は低めから。ただし、あまりに低すぎると、早期決裂で予想外に裁判移行されてしまうリスクがあります)し、判例になった場合に想定される平均相場以下で合意を取り付けることを目指すのが一般的でしょう。

 

 なお、こういった交渉では腹の探り合いであり、また表現は不適切ですがチキンレースの側面(裁判を嫌がった方が不利)もあります。 さらに、相手方としても費用を払って弁護士まで雇った以上、感情論も強いことは事実です。案件によっては、非常にタフな交渉になることもあります。

 

弁護士古市佳代 (三重弁護士会所属 津市出身)

財産分与はいつまでに?

相談:前の夫とは、1年ほど前に協議離婚しました。でも、別れることだけで精一杯で、離婚に伴う財産分与をしませんでした。離婚届に印鑑を押してしまった今となってはもう財産分与はしてもらえないのでしょうか?

 

回答:財産分与は、民法上、離婚後「2年間」は請求できます。

 ですので、離婚届けを提出してから2年が経過する前に、家庭裁判所に財産分与の調停を申立ればよいわけです。

 

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

財産分与の割合

相談:妻とは先日離婚することについて合意が成立しました。次は、財産分与の話し合いをしたいと妻から言われています。財産分与について割合はどうなるのでしょうか

 

回答:離婚の合意が成立した場合、通常であれば、夫婦の財産を分けることになります。

 これが、離婚の際の「財産分与」です。

 この離婚の際の財産分与においては、結婚した日から、夫婦の協力関係が終了した時点(通常は、別居する日)までの間に得た夫婦の財産をすべて半分ずつとされるのが原則です。

 この半分ずつというのは、例外的な判例(後述)はありますが、大抵変わりません。

 

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

財産分与の際の調査

相談:夫とは先日離婚することについて合意が成立しました。ただ、同居中、夫は自分の通帳や金融資産等について、一切教えてくれませんでした。銀行や証券会社からのハガキ等はあるのですが、頑として「ない」の一点張りです。

 

回答:夫婦が婚姻期間中に培ってきた財産があれば、離婚の際の財産分与で、通常半分こにします。

 例えば、夫の預金が400万円、妻の預金が100万円、それだけが夫婦の総財産、というカップルの財産分与であれば、夫が妻に150万円を財産分与することで、それぞれが、250万円ずつもつことになり、財産分与終了です。

 しかし、実際このような単純なケースは少なく、金銭評価が難しい土地建物や、ローンを負っている場合、親の相続財産等の共有財産以外の財産が流れ込んでいる場合、そもそも相手のもっている財産状況がよくわからない場合、等があります。

 最後の、そもそも相手のもっている財産状況がよくわからない場合の財産分与の場合、裁判所に頼らない、示談段階で解決するのは困難です。

 なぜなら、相手の財産がわからない(もしくは、言っていることが信用できない)場合は、金融機関等に調査をかける必要がありますが、今は個人情報保護の関係で、弁護士が調査をかけても、相手方の同意なくほとんど開示してくれません

 そういった場合は、離婚調停の中で、裁判所に調査をかけてもらうことで、相手方の財産の全ぼうを調査していくことになります。

 

文責:弁護士古市佳代 (三重弁護士会 津市出身)

離婚した後の財産分与

相談:妻とは1月程前から別居しており、離婚調停中です。夫婦の間の主な財産としては、婚姻中夫婦でローンを組まずに購入した自分名義の土地と、婚姻中の妻の給料をためた妻名義の預金、あとは先日父親から自分が相続した建物があります。財産分与というものをすると聞いたことがあるのですが、この場合、どの範囲のものを、いつの評価でするのでしょうか。

 

回答:財産分与には、3つの意味があると言われます。

 ①婚姻中の夫婦共同財産の清算、②離婚後の扶養、③離婚に伴う損害の賠償、です。

 ただ、実際問題、主として問題となるのは、①です(清算的財産分与といいます)。

 要は、離婚するのであれば夫婦がそれまでの協力によって得た財産(又は、減少を免れたり、維持管理に特別の貢献が認められる財産)については、その名義を問わず半分ずつにわけましょうということです。

 この分け方は、大原則で2分の1ずつです。例えば、夫が医者、妻が専業主婦のケースだと、一見するとほとんどの財産を夫が稼いだように見えますがこの場合でも大原則の2分の1です。なぜなら、妻としても主婦業をすることで、夫の高収入を支えてきた(とみなされる)からです。

 裁判例ですと、例えば、夫が一年のほとんどを家に戻らず船の上で過ごすような仕事等、妻が夫を支えてきたとはいえない特殊なケースで、2分の1ではなかったことがありますが、本当に稀なケースです(単なる長期単身赴任等では認められません)。

 質問のケースですと、名義にかかわらず、土地と預金は財産分与の対象になります。

 そして、夫婦が協力して作ってきた財産の清算という観点からすると、協力していたのは別居までということになりますので、預金の残高は別居時点のものに通常なります。

 ただ、土地の価格(評価)は公平の観点から、実際に財産分与がなされるときとされます(実際、株式等と違って、別居時点にさかのぼって、土地の評価を調べるのは困難でもありますので)。

 他方、父親から相続した財産については、別居前か後かを問わず、財産分与の対象になりません。夫婦が協力してつくったものではないからです。

 

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

財産分与と贈与税

相談:夫と離婚の話がまとまりました。そして、離婚の際の財産分与として、夫から建物をもらうということで話し合いがつきました。でもこれは、離婚に際して、夫から建物を贈与されたことになり、贈与税がかからないでしょうか?

 

回答:離婚の財産分与は、財産分与義務の履行であり、「贈与」にはあたりません。

 したがって、「原則」として贈与税(贈与を受けた側が払う税金)はかかりません。

(あまりに不自然に多額な財産分与が離婚に際してなされた場合、例えば税の潜脱行為と認定されるような場合、その部分については「例外的」に贈与税がかかってしまう場合があります。)

 したがって、例えば、妻が、離婚に際して財産分与として、夫から建物の財産分与を受けたとしても、「原則」としては贈与税はかかりません。

 少しややこしいですが、以下のような理由からです。

 すなわち、婚姻中に夫婦が取得した財産は、原則夫婦の共有とされます。

 そのため、例えば、建物などの不動産が、仮に夫婦一方の名義であっても、実際にはもう一方にも潜在的持分が認められます。

 そして、離婚に際しては、この共有関係を清算することになるのですが、その際には、この潜在的持分が、財産分与請求権という形で顕在化することになるわけです。

 従って、「離婚に際しての財産分与請求権」という債権の弁済として、夫婦の一方から財産を受け取るという形になるかけですから、贈与(無償である必要があります)にはならず、贈与税はかからないというわけです。

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

財産分与と譲渡所得税

相談:妻と離婚の話がまとまりました。私からの離婚の際の財産分与として、結婚後購入した家を妻に渡すことになりました。次回の調停で全て合意して終了する予定なのですが、離婚の際の財産分与として、家のような価値の高いものを渡す際の注意点はなにかあるでしょうか。なお、ローンは払い終わってます。

 

回答:離婚の財産分与に際して、分与を受ける側には贈与税は原則かかりません。

 他方、譲渡所得税(譲渡した側にかかる税金)については異なります。

 例えば、今回の相談のように、離婚の際、夫から妻に、不動産等の資産について財産分与がされた場合には、譲渡所得が生じていれば、税金が発生します。

 この場合、夫の方が「課税されるなら財産分与しなかった、錯誤だ」と後になって主張しても、錯誤無効を認めた裁判例と認めない裁判例があります。

 そのため、離婚の際に財産分与する側としては、それが多額の財産分与になってしまう場合には税金にも注意を払っておく必要があります。

 

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

財産分与におけるペットの扱い

相談:離婚の際に、夫婦の財産を分けるということは聞いたことがあります。貯金や土地などはわかるのですが、私たち夫婦には、5年前から大事にしている猫(購入価格30万ほど)がいます。動物は、法律では「物」として扱われるとは聞いたことがありますが、この猫については財産分与の際にどのような扱いになるのでしょうか。

 

回答:離婚の際、結婚から現在(別居)まで、夫婦で培った財産で、残っているものは、原則半分ずつになるのが財産分与です。

 ご質問にあるように、民法では、命あるペットであっても、「物」という扱いをされていますので、財産分与の対象になる可能性があります。この場合、当該ペットをどのように財産的評価(要するに、いくらとみなすか)が問題になります。

 この点について明確に述べた判例等はないようですが、財産分与の際の、対象財産の価値は、現時点で評価するという実務の考えからすると、あくまで、購入価格ではなく、現在の時価とするのが、ペットにもあたることになると考えるべきでしょう。

 そうすると、ペットの種類や希少性にもよりますが、生後数年を経過した一般的な犬や猫であれば、ペット市場で流通していないわけですから、市場価値としてはゼロと考えるのが妥当でしょう。よって、生後数か月のペットであれば、財産分与の対象になるケースはありますが、本件のようなケースの猫では、財産分与の事実上対象外という結論になります。

 ただ、そうなると、夫婦双方がどちらも長年かわいがっていたペットの場合、財産分与においては「先につれだした者勝ち」という実力行使ルールになってしまいますので、その点の問題は残ります。

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

年金分割とは

相談:8年連れ添った妻と離婚の話がまとまりました。ところで、年金分割も決めたのですが、いまいちよくわかりません。自分も妻も婚姻前から離婚時まで仕事をしておりまずが、要は年金の半分が妻にいくわけなのですか?

 

回答:夫婦それぞれが、厚生年金に加入している場合、それぞれ給料の中から、厚生年金部分が天引きされています(この天引きされている部分が、将来65歳になったときの、厚生年金の額に影響してくるわけです。)

 

「結婚期間中の」、夫の給料から天引きされている部分、妻の給料から天引きされている部分を均等にするのが年金分割です。

 

通常、夫の給料が多いことから、夫の給料から天引きされている部分の方が、妻より多いです。この多く天引きされている部分が妻に流れると考えてください。

 

要するに、65歳にそれぞれがなったとき、厚生年金部分が(国民年金部分ではなく)、夫の額が減って、妻の額が上がるということです(つまり、貰うはずの年金が半分持って行かれるわけではありません)。

 

当然、結婚前や、離婚後に夫が支払った厚生年金部分は、妻には関係ありません。

 

そのため、妻が専業主婦で、妻自身が全く厚生年金に加入していなかったケース(妻から天引きされている部分がないわけですので、夫から天引きされた部分の半分がそのまま妻に移行します)や、結婚40年のようなケースでは、夫の天引きされていた部分がかなり妻にもっていかれてしまいますが、ご質問のケースでは、夫婦とも厚生年金を払っており、結婚期間もそこまで長期ではないのでそれほどではありません。

 

もちろん、あくまで将来年金をもらう時点の話ですので、将来の年金制度にも影響される可能性もあります(そもそも、70歳に引き上げられる可能性もありますし)。

 

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

別居中の夫婦間での贈与

相談:離婚を前提に妻とは1年ほどまえから別居しています。半年ほどまえ、つい、「今回のような状態に至った責任は自分にあるから、土地建物と、300万程度の預金は全てやる」と言ってしまい、現在、履行を求められています。このようは贈与は取り消せないでしょうか。。

 

回答:夫婦の間の贈与は婚姻中ならいつでも取り消すことができるのが原則です(民法754条)。

 これは、夫婦間のそういった問題は、夫婦関係の円満のために、夫婦間で決着させるべきという趣旨からです。

 また、書面によらない贈与はいつでも取り消すことができます(民法550条)。

 これは、口約束での贈与は慎重になされないことから、書面を作らない限り拘束されるべきでないという趣旨からです。

 そうなると、質問のケースだと、2重の意味で取り消すことができるように思われます。

 しかし、判例は、このような、離婚を前提とする別居中の、婚姻関係が破綻しているような夫婦間の口頭贈与のケースで、取り消しを認めていないようです。

 というのは、①民法754条の、婚姻中いつでも取り消すことができる、の「婚姻中」には例のような婚姻関係が実質的に破たんしているような場合は含まない。②550条についても、例のような場合の口頭贈与は、単なる贈与ではなく、離婚と不可分の関係においてされたもので、離婚協議の一条項というべきものであるから、550条の適用はない、としたからです。

 確かに、①については、夫婦関係の円満のためという754条の趣旨からは、もう破綻している夫婦については夫婦間で決着すべき段階は終わっていると言えます。

 ②についても、離婚の際の条件の協議ともいえますので、単なる贈与とは同視できないというのも分かります。

 いずれにしても、別居中は、法律上は婚姻関係にあっても、それ以外は他人のようなもの(勝手に家に入ると住居侵入になる等)ですので、そのような状態では、軽率な発言・対応等は絶対にするべきではないということです。

 

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

親権の判断基準

相談:5歳の息子の親権を妻と争うことになりそうです。ただ、ネットなどどこをみても、男で親権は不利だとかいてありますが、そうなのでしょうか。仮に、男というだけで不利であれば、それは性による差別を裁判所は認めていることになるのでしょうか。

 

回答:一般論として、離婚裁判の結果、男性と女性が、どちらが親権をとれるケースが多いか、というのであれば、圧倒的に女性の方が多いと思います。

ただ、それは、男だから、女だから、、という性別だけで判断されているわけではありません。

裁判で親権が争われる場合、様々な事情を判断して、裁判所は、夫か妻を親権者としますが、そのうち、主な要素のひとつが、「これまでどちらが主として子供の監護をしてきたか」です。

そして、今の日本社会において、どうしても夫の収入の方が多いカップルが多数です。そのため、夫が外に仕事にでて、妻が自宅で子供の面倒をみる(特に幼いうちは)というのが、賛否はともかく、圧倒的多数です。

結果として、これまで主に子供の監護をしてきたのは、どうしても、夫ではなく、妻になるケースが大半になり、妻の方が親権で有利という話につながるわけです。

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

別居中の夫婦間の自宅占有関係

相談:1年程前から離婚を前提に夫は自宅から別居していました。ところが、先日、私と子どもが旅行している間に、夫は鍵を壊して自宅に入り、鍵をすべて取り替えて占拠してしまいました。借りていたアパートから追い出されたとのことですが、今私と子どもは実家に戻っています。このような夫の占拠は保護されるのでしょうか?なお自宅の登記は夫婦の半分ずつの共有です。

 

回答:まず、民法は、ある人が、物や不動産に対して事実的に支配している状態を、「占有」しているとして保護しています(占有権)。

 ポイントとしては、そのある人の事実上の支配状態が正当なものであるかどうかを問うことなく、ひとまずその状態を保護している点です。

 その結果、その物について、正当な権利を持つ人(所有権者など)であっても、法的な手続きを介することなく、自力救済により占有権を侵害することはできません。

 なぜなら、権利があるからといって、自力での救済を認めたのでは、社会の秩序、平和の維持が図られないからです(現代の法治国家では、それは裁判等で実現してください、ということです)。

 例えば、家賃滞納しているアパートの住人がいても、部屋の所有者である大家さんは、部屋に勝手に入って無理矢理追い出すことはできません(契約解除したうえで、裁判を起こして明け渡しを求めることになります)。

 ただ、社会の秩序、平和の維持のために、占有権を保護しているということは、社会の秩序、平和の維持の観点から認めるべきでない占有は、占有権として保護すべきでないことになります。

 以上の基礎知識を前提に、ご質問のケースをみますと、まず、間違いなく、質問者さんは自宅の占有権がありました。

 では、その後の夫の占拠によって、占有権が夫に移ったかといえば、類似の裁判例からすると否定されると考えます。このような態様で確保した占有は保護に値しないといえるからです。

 そのため、現在でも、占有権は質問者さんにあることになります。

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

行方不明の妻と離婚できるか?

相談:5年ほど前、妻がいきなり行方不明になりました・・・当時は事件に巻き込まれたと思って、すぐに近くの警察署に相談したところ、どうやら不倫相手と駆け落ちするような形で子供を置いて出ていったことがわかりました・・・以後は5年もの間、音信不通になっています(住民票を調査されないように、そのままにしているようです)・・・最初は待っていましたが、もう再婚して新しい人生をやり直したいのです・・・このような行方不明の妻と離婚することは可能でしょうか。

回答:離婚調停も、離婚裁判も訴状の送り先として、現在の相手方の居所、もしくは勤務先を特定する必要があります。

 そのため、今回のように相手が行方不明だと裁判所を利用しての手続きがそもそも開始できないようなことになってしまいます。

 そこで、法はこのような配偶者が行方不明のケースに対しては、公示送達という方法で離婚の訴状を送達して、裁判を始めるという方法を認めています。

 裁判が始まっても相手方が裁判所に現れない場合は、夫側の主張を確認して、離婚の要件がそろっていると判断されると判決で離婚を宣言してくれます。

 なお、今回のケースだと、ほぼ間違いなく離婚判決がでて離婚ができると考えます。

文責:弁護士古市太一 (三重弁護士会 鈴鹿市出身)

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 ホームページを訪れてくださった皆様、はじめまして。

 すずか市民綜合法律事務所の代表を務めております弁護士古市太一と申します。

 当事務所は、私と、妻である弁護士古市佳代の二人が、「地元三重の市民の皆様に、ベストな法律サービスを、適切な経済的負担で提供する」という理念の下、私の出身地である、鈴鹿市に創立されました。

 いまだ弁護士というと、敷居が高いイメージがあり、「弁護士を頼むと大事になる」というイメージもあると思います。

 しかし、世の中には、簡単な法律を知らなかったがために、まったく理不尽な結果を押し付けられたり、右往左往する方々が多々存在します。

 当事務所では、できるだけ、従来の敷居が高いイメージをなくし、市民・企業の皆様に、適切な「法律サービス」を提供していくことができるよう、全力で活動をしていく所存です。